"加藤鷹×加藤ひさし (THE COLLECTORS) 対談
40代でアウトロー。それぞれのフィールドで独自の道を切り拓き、トップを走り続けている2人の“加藤”が仕事、世代、生き方を語る。
■最初に持っていた情熱を温め続けるのが一番難しい
ひ:鷹さんは当時どうして上京したんですか?
鷹:うーん、上京したきっかけは3つくらいあって、ひとつは職を失ったこと。まあでも人生の転機ってそれ くらいしかないでしょ、仕事か女か金か(笑)。僕の場合はその3つが一気に来たから、それで東京に出てきたんですね。
ひ:鷹さんってどんなバンドやってたの?
鷹:俺はドラムで、一応売れ線のロックバンドだったのかな(笑)。東芝も契約するって言ってて、財津和夫プロデュースでデビューするはずだったんです。85年か86年で今から20年前。だから解散のときはけっこうショックでかかったですね。
ひ:解散の理由は?
鷹:きっかけはキーボードの女が辞めるって言い始めたことからですね。それで女性不信になったっていうのもあるんですけど。でも今考えると、女だけが冷静に世の中を見てて、男だけが馬鹿な夢を追いかけていたという、そういうよくある構図ですよね。それからは基本的には僕は避けて通ってますね。
ひ:音楽を?
鷹:ええ、音楽辞めてからはカラオケも一度も歌ったことないですし。それ以来、歌を拒否し始めたんですね。捨てた夢を追わない男なんで(笑)。
ひ:なんかわかる気がしますね。あんまり好きすぎるとそうなるんじゃないかな。
鷹:でも、例えばほかのミュージシャンのコンサートとか、ちっちゃいライブハウスだとしても、観てるとうらやましいですね。めちゃめちゃうらやましい。だから自分のアダルトビデオとか観て喜んでくれている人もいるかもしれないけど、すごい小さく感じますね。
ひ:えー!?
鷹:うん、歌を歌って人がさわげたり盛り上がれるっていうことはとてつもないすごいことだと思ってます、それは今でもすごく思う。とにかく音楽やっている人はすごいです。
ひ:いやー、嬉しい言葉だけど、でもやってる側はつらいことも多いよね。
鷹:それもよくわかります(笑)
ひ:やっぱり仕事としてやり続けていて一番怖いのは余裕がなくなってくることだね。最初は初期衝動で「こんな歌もあんな歌も歌ってやる!」「喜ばせてやる!」みたいな感じなんだけど、それが歳を重ねるごとに、体力も思考も固まってきて、ある程度こんなもんだろう、という状態になってきちゃうんだよね。そこの情熱を温め続けるのが一番難しい。
鷹:それはみんな持っている悩みでしょうね。友達のミュージシャンの話を聞いても自分たちがやりたい曲をやれているかというと、ほとんどそうじゃないっていう。やっぱり商売上、ビジネスとしてやっているものが九割以上。実際に自分がやりたい音楽をやっても売れないんじゃないかっていう不安はあると思いますよ。
ひ:一度売れたら、売れ続けなきゃならないからね。
鷹:それは僕ら映像の世界でもいっしょですよ。自分が表現したい・やりたいものと、監督に要求されて自分が今やらなくちゃいけないものがイコールなんてまず1%もないです。100本出て1本ないってことですよね。
ひ:確かにそうですよね。
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